薄い頭上に「ほうろく灸」
所沢小学校の学校新道通りに大きなイチョウの木が2本ある。よく通る道だが、門柱には「法華寺」と書かれている。狭い境内のお寺でさして気にもしていなかった。そんな小さなお寺さんだ。
所沢市民大学の修了生の会「歴史散策クラブ」から「法華寺のほうろく体験」の案内がきた。法華寺といってもピンとこない。場所はどこかなぁ、と思っていたくらいだ。以前からローカル紙で「ほうろく灸」があるのは知っていた。
「ほうろく灸」は未体験。さて、さて、どんなお灸なのだろうか。7月21日、2つのクラブが合同して、約40人が参加。お寺は珍しいニ階建て。狭いので2班にわかれてニ階にあがる。袈裟をかけた双子の住職さんが待っていた。
「ほうろく灸」の前に、まず東日本大震災の被災者への黙とうからはじまった。お清めのお払いのあと、いよいよ初体験の「ほうろく灸」がはじまる。
各人の頭に「ほうろく」という素焼きのひらたい土なべをのせる。その下には経文が書かれた紙を敷く。両手で頭のほうろくを支える。ほうろくには大きな「もぐさ」が3個のせてある。
火がつけられた。じわりじわりと暑くなる。となりの人はどうかと横をちらり、するとほうろくの下敷きの紙が落ちてしまった。なにしろぼくの頭の髪は薄い。じかだと暑い。直接、ほうろくがあたらないように両手で少し離す。
この間、住職さんは、鐘をたたき祈祷(きとう)をあげている。狭い室内にもうもうともぐさの煙と香りがたちこめる。頭が少し暑いのか、みんな神妙な顔をしている。
読経のなかみはわからないが、「家内安全、交通安全、悪魔退散!」ということばが耳にのこる。祈祷が終わると、今度は住職さんが参加者のからだをさすり身体健全を祈願した。
この「ほうろく灸」は、江戸時代から夏の土用の丑(うし)の日にはじまったという。暑いさなかのお灸。「心頭滅却すれば火もまた涼し」ということわざがある。暑い、暑いといえば、つい気持ちがカッカしてしまう。ほうろく灸は、夏ばて、頭痛などにも効くといわれている。
法華寺のほうろく灸はいつごろからはじまったのだろうか。お寺の資料によると、1903年(明治36年)の「北田斧吉日記」に「本日丑ノ日ニ付之ヲ施行セリ余トお政一人之ニ赴ケリ」とあるというから、鬼子母神がまつられた当初からの行事ではないか、とある。
今年の夏は、原子力発電所の事故で、企業も家庭も節電がとりくまれている。扇風機やエアコンがない時代、人びとは暑い夏を工夫しながらのりきってきた。「ほうろく灸」も庶民の知恵にちがいない。
当麻よし子のHPに動画(YouTube)「第5次所沢市総合計画のご案内」を追加しました。新緑の狭山丘陵・トトロの森で撮影しました。ぜひクリックしてごらんください。
当麻市長が市民に約束した3年半のマニフェストの外部評価報告書もごらんください。
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コメント
当麻 実 様
ブログの情報ご提供(ファックス)ありがとうございます。
また、先日は本寺(鬼子母神法華寺)のほうろく灸祈祷会法要にご参会賜り、ありがとうございました。
当日、説明不足でしたが、ほうろくの下敷きの紙は、ほうろく灸専用の護苻(ごふ)です。ご祈祷された護苻を持ち帰り、枕カバーの下に入れて寝ると頭痛に効くといいわれています。信者さんたちは新しい護苻をいただくと1年間使用し、翌年のほうろく灸のときにお炊きあげに持参されます。みなさま方は、不要になられた時点で、丁重にお手を合わせた後普通に処分されて結構だと思います。お気になるようでしたら、法華寺にお持ちいただければお炊きあげさせていただきます。
また暑さも戻ってくるようですが、当麻様はじめみなさま方のご清祥をお祈り申し上げます。
法華寺・大畑洋 合掌
投稿: 法華寺・責任役員・大畑洋 | 2011年7月24日 (日) 15時51分
ほうろく灸の下敷きの紙は「専用の護符」なんですね。ありがとうございました。
投稿: みのる | 2011年7月25日 (月) 19時27分