苦労しなくとも当選した人
所沢市議会議員選挙(定数36/立候補者数46)が終わった。結果は党派別でみると、民主5、自民3、公明6、共産5、みんな2、ネット1、無所属14となった。
投票率は41.18%で前回より3.86%も低い。身近な市政にもかかわらず、100人の有権者のうち41人しか投票していない。27万4千余有権者の約6割が棄権したことになる。住みよいまちにしてほしい、そのために市政を担う議員さんを選ぶにしては残念な数字といえる。
所沢市の「選挙の記録」をみると、総選挙の投票率はほとんど過半数を超えている。だが、首長選挙と地方議員選挙の投票率は、都市化がすすむにつれ、毎回低下の傾向になっている。全国的にみても、とくに今回の統一地方選挙の投票率は低い。
この傾向はなぜだろうか? 投票率の低下傾向は、今後の地域主権の確立、民主主義の発展にも影響してくる。さらに、おまかせ民主主義になりやすい。みなさんは今回の「有権者の沈黙」をどうごらんになるであろうか?
4月24日の投開票日、所沢市民吹奏楽団の第35回記念演奏会が市民文化センター・ミューズでひらかれた。開場前のアークホール前は長蛇の列。東日本大震災で多くのイベントが中止になったが、ぼくは震災後ひさしぶりにミューズでの演奏会を楽しんだ。
開演にさきだち、当麻よし子市長が、「きょうは盛りだくさんの曲目が演奏されますが、音楽の力が、被災地にしっかりと届きますよう、みなさまとお祈りしたいと思います」とあいさつ。
演奏会の元気をもらって、開票の夜を迎える。ぼくは民主党事務所につめた。つぎつぎと開票速報が入ってくるが、党公認7人のうち2人の票がよくない。深夜、「たいへん厳しい状況だ」と相手に伝えるのがとてもつらい(ちなみにわが家も2回落選経験)。
前回、民主党は6人が当選。今回は世代交代をして、現職3、新人4であった。新人は半年前から職をなげうって活動してきた。どんなに努力して準備をしても、選挙の当落の数字はシビアになる。
選挙にも下馬評がある。現職の場合は力量がわかりやすい。新人の場合はつかみにくい。新人は「顔と名前」も知られていない。だがたとえば、地域政党の「大阪維新の会」の新人候補者は橋本知事ブームにのって、苦労しなくとも当選した人もいる。政治的な運がいい人たちだ。
ぼくはこんなとき、500年前の16世紀初頭に書かれた「君主論」(マキアヴェリ著)の一節を思い出す。
「一私人の身から、ただ運に恵まれただけで君主になった人たちは、すこしも労せずに君位を得ても、国を維持するにあたっては非常に困難に直面する。つまり、その地位に飛ぶようにしてついたものだから、彼は途中ではなにひとつ障害にであわない。だが、ついたとたんに、ありとあらゆる困難に見舞われる」
激戦を勝ちとった人も、「勝って兜の緒を締めよ」ということわざがある。ぜひ選挙公報で公約したことを実行していただきたいと思う。
★「自治体学会緊急フォーラムin所沢」のお知らせ★
日時/5月21日(土)10時~16時 場所/市民文化センター・ミューズ/参加費2千円。
シンポジウム:「東日本大震災~自治体はどう立ち向かっていくか」「郊外都市の自立と連携~大都市圏の危機管理を問う」など。くわしくは自治体学会HPをごらんください。
★「当麻よし子のHP」では、昨年から「市制60周年・航空発祥100周年」紹介の動画(YouTube)をのせています。まだの方は、ぜひクリックしてください。