所沢夏の風物詩に行灯廊火
「ワッショイ、ワッショイ」と子どもたちが小さなみこしを担ぐ。地域の広場にやぐらがくまれ、太鼓にあわせて踊りの輪がひろがる。やきそば、焼き鳥のにおいが漂う。市内各地で盆踊り大会の季節がやってきた。今年も、つれあいは各地の盆踊り大会に招待されている。
昨夜、以前から「まちぞう」のおもしろい企画があると聞いて、所沢駅西口ワルツ前にでかけた。イベントは「野老澤行灯廊火(ところざわあんどんろんか)」。主催は中心市街地の活性化をめざす「野老澤町造商店(まちぞう」。
会場は人だかり。のぞきこむと、火きり棒を使い、その摩擦熱を利用して、火おこしをしている。マッチやライターなら簡単だが、オープニングイベントは、なんとまぁ、こったやり方だ。これに協力しているのが所沢市観光大使であるJULEPSと埼玉プロンコスのメンバー。まわりはカメラをかまえた若い女性たちでいっぱいだ。
この「火」は、あんどんに入れられて、点灯式がある銀座中央広場に運ばれていく。ゆかた姿の女性たち、妖怪のような衣装、はでな衣装の男性グループ、その後にぞろぞろと多くの市民がプロペ通り、ファルマン通りをへて、メイン会場の点火式の広場にむかった。
高層マンション脇にある細長い広場には、地口行灯(じくちあんどん)が約100個並べられている。ここにもたくさんの市民があつまった。暗くなった午後7時、当麻よし子市長が「行灯」に火をつけるセレモニーがはじまった。
当麻市長は、「このイベントは楽しい所沢の夏の風物詩をめざして、まちぞうのボランティアなどが手作りで準備をしてきたと聞いています。私は所沢市は古いものと新しいものがまじりあっている、おもしろいまちだと思っています。プロスポーツの埼玉プロンコス、若いミュージシャンのJULEPS、そして古い祭りや伝統芸能が共存しています。これが所沢の魅力ではないか」とあいさつした。
灯りがともされた行灯に達筆な文字と絵が描かれている。「ぼたんにかなづち」「おおぎも十八山茶もにはな」「箱根八里は熊でも越すが」「ほうづきさまいくつ」「はらよりだんご」などいろいろ書かれている。これが地口(じぐち)だという。いったい、なんのこと?
まちぞうスタッフのMさんがマイクをにぎった。「この絵をみていただくとおわかりのように、江戸時代から地口という遊びがあって、ことばをもじって遊んだものです。祭りの日に参道などにならべて、なぞを解いていく、そんなイキな遊びです」。
会場に「一分でわかる地口行灯講座」のパネルがある。地口行灯とは、「地口とそれにあわせたこっけいな絵を和紙に描いて、箱行灯に仕立てたもの」。その地口とは、だじゃれやことば遊びのこと。たとえば、「腹より団子」→「花より団子」。う~ん、わかってきたが・・・。
2月に行なわれる近所の稲荷社の初午(はつうま)は、「家内安全」「交通安全」の文字が書かれた行灯が多い。地口行灯ははじめてだ。
もう少しみてみよう。「ぼたんにかなづち」→「牡丹に唐獅子」。「包丁ときまさ」→「北条時政」。「煮たものふうふ」→「似たもの夫婦」など、歴史上の人名、成句をもじったものなど、描かれた絵をみて、なぞを解いていく楽しみもある。Mさんがいう「イキな遊び」かもしれない。
熱気ムンムンだった初めての「行灯廊火」のイベント。時間がたつにつれ、人影も少なくなり、行灯が暗闇に灯されている。イベントが行なわれた中央広場は、銀座商店街通り脇にある。幻想的な灯りにいつまでもみとれたい気分になる。来年度もぜひ「行灯廊火」に期待したい。

