EUが所高にやってきた
「27のEU加盟国のうちユーロ通貨は16カ国。残りの11カ国はなぜ使われないのですか。将来は使われていきますか?」「日本はいままで周辺諸国と仲がよくない。なぜEUは仲がよいのですか?」「EUに加盟していない国もあります。将来の見とおしはどうなんでしょうか?」
「EUは金融危機にたいしてどう対応しているのですか」「パスポートなしであれば過疎や過密はおきないですか?」「お話をきいて、日本もEUに加盟したいのですが、どうしたらよいのですか?!」「ウオレンさんはなぜ外交官になったのですか。どうすれば大使になれますか?」など多くの質問。英語で質問する生徒もいた。アメリカ人の高校留学生だ。
これらの質問にていねいに答えたのが、駐日英国大使のディビッド・ウオレンさん。5月8日、母校・埼玉県立所沢高等学校で、約千人の生徒にたいして「EUがあなたの学校にやってくる」の特別授業がひらかれた。ぼくもこの講演会をのぞいてみた。
この講演会は、5月9日のヨーロッパ・デー(EUの創設記念日)にあわせて、EU(欧州連合)加盟国の駐日大使18人をふくむ総勢60人を超える外交官が全国109の高等学校を訪ねて、若者のヨーロッパにたいする好奇心を刺激することを目的に、一昨年からとりくまれたという。
ウオレン大使は日本語で講演をはじめた。「いまEU加盟国は27カ国。最初は6カ国からスタートしました。面積は日本の11倍、人口は4倍です。EUは各国の多様性のなかの統合です。公用語が23あります。みなさんはどのことばが一番使われていると思いますか? いま英語、フランス語と声がとびましたが、答えはドイツ語です」
「EUに加盟を希望する国は、人権の尊重、安定した民主主義などが求められます。EUは単一市場で、製品、サービス、資本、人びとも交流することができます。パスポートなしで出入国できる国、共通通貨ユーロを使用している国は16カ国あります」
さらに、EUの欧州議会、欧州委員会などの機能についても具体的に紹介。「EUの外交政策は、国家をこえた政治をめざしています。日本とEUの関係は、共通の価値、貿易、多くの分野での協力・交流が盛んです」とEUの存在をアピール。講師は、イギリス大使だが、自国のPRではなく、EUの存在アピールに徹していた。
この講演を聞いた生徒の反応が冒頭に紹介したさまざまな質問。なかなか興味ある質問だ。「EUが身近に感じられました」とは生徒の感想。
それにしてもEU(European Union)の加盟国は急速に増えてきた。とくに2004年は10カ国が加盟。最近ではブルガリア、ルーマニアも加盟している。さらにいまトルコ、クロアチアも加盟交渉している。ユーロ通貨はいまや16カ国になっている。
4年前、ぼくはモスクワからロンドンまで列車の旅をしたことがある。ウラジオストックからモスクワまでのシベリア鉄道と違い、モスクワからわずか2泊3日でロンドンにつく。
国際列車なので、てっきり食堂車がついていると思っていた。そのためユーロは事前に用意していた。だが食堂車はついていなかった。ほとんどの乗客は途中下車だ。いまどきモスクワからブリュッセルまで列車でいく人は少ないからだろう。
ボーランドはEU加盟国だが、ワルシャワ駅でポーランド通貨に両替して、食料・飲み物を買った経験がある。イギリスもユーロではなくポンド。まだ単一通貨ユーロを使うには、さまざまな問題、課題があるにちがいない。
ぼくが高校生のときは、EUではなく、EEC(欧州経済共同体)の時代。第一次、第二次大戦を経験したヨーロッパは二度と戦争のないように努力してきた。27カ国に拡大したEUは、国際政治・経済のなかで今後どのような発展をしていくのだろうか。ひるがえって、アジアのなかの日本。将来、東アジア連合の動きは可能であろうか。
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