地域福祉は市民の力で
先日(3/25)、ミューズ・キューブホールで「所沢市地域福祉活動フォーラム2009」(主催:所沢市社会福祉協議会)がひらかれた。
13時開会10分前に入場すると、マイクをもってなにかしゃべっている人がいる。よくみると講師の浅野史郎先生(慶應義塾大学教授/前宮城県知事)ではないか。おやおや、もうはじまったのかなと思ったくらいだ。
先生は茶目っ気のある方だ。司会が先生のプロフィールを紹介しているとき、すぐ後に気づかれないよう立っていたり、イスを自分で運んだり、演壇すれすれに立って「落ちないかと心配して、みなさん寝ていられないようにね」と爆笑させる。
それはさておき、来賓の当麻よし子市長は、「地域社会の個人のつながりが希薄になっているなかで、住みよい所沢をめざして、地域福祉計画を策定している。私自身、マニフェストのなかで地域ケアネットワークの確立などをかかげ、いまとりくんでいる。みなさんのご提言、ご意見をいただき、これからの福祉のあり方の議論に役立てたい」とあいさつ。
記念講演で、浅野先生は「地域福祉はだれのためにあるのか、それは地域の底力で、非専門家(無関心層)をどう関心者にすることではないだろうか」といくつか事例をあげて説明された。
そのひとつに横浜市栄区桂台の「朋」という施設の例。ここは重症心身障害児・者の通所施設。23年前、重度障害者施設をつくるために、地域の町内会の了承を得ようとでかけた。高級住宅街にそんな施設はダメといわれたが、最後の住民説明会のとき、「障害者は散歩するのでしょうか」と質問があった。代表の日浦美智江さんは、てっきり反対と思いドキイとした。だが「乳母車にのって一緒に散歩しましょう」といわれ、ホッとしたという事例だ。
ぼくには具体的な経緯はわからないが、横浜市はこの施設の日浦理事長に横浜文化賞を与えたという。それは日本で初めての重症心身障害児・者の通所施設の活動が評価され、またノーマライゼーションを地域に浸透させることに大きな貢献をしたからだという。それにしても文化賞なんてイキな賞ではないか、と思う。
この種の施設は、近所にできるとなると、総論賛成・各論反対が多い。ぼくも精神障害者の施設つくりにかかわったことがある。借家の小さな通所施設にどうどうと看板をかかげられない、病院跡地に社会復帰施設をつくろうとすると地域住民は、障害者は怖い、施設ができると地価が下がると反対運動が起きたこともあった。
地域福祉フォーラムは、記念講演のほかに、地域福祉活動推進会議委員長の中島修さんの基調説明、パネルディスカッション(パネラーは神武恭子さん、中村俊明さん、村岡和子さん)「支えあいのまち ところざわを創る」と、もりだくさんであった。
コメンテーターの浅野先生は、今回のテーマは「ふくしのまちづくりは市民の力で」となっているが、これを「地域福祉でまちづくりを」と考えたらどうかとの提言もされた。
地域福祉というと抽象的だが、地域に住む住民が、まず「あいさつ」ができる関係から、また困っているときには支えあう、助けあうことだ、と思う。今日郵便受けにあった所沢社協の「ちゃお !」(42号)には、2008年度から具体的に歩みだした「山口地区地域福祉ネットワーク会議」の記事がのっていた。
先日のフォーラムの資料にも山口地区のネットワーク会議が紹介されていた。社協山口支部、山口地区民生委員、山口自治連合会、山口長生クラブなど現在9団体が参加している。2009年度は「みんなで考え、みんなでつくり、みんなで実施する地域福祉をモットーに」、情報交換・共有、地区活動計画づくり、相談広場、広報紙の発行などにとりくみたいとしている。
浅野先生のユーモアのある記念講演、またパネルディスカションをとおして、地域福祉とはなにかを考えさせられるフォーラムであった。みなさんのまちの「地域福祉計画」「地域福祉活動」はどうなっているだろうか。

