2009年11月10日 (火)

みまもりで7人の命助かる

 「何日も洗濯物が干しっぱなし」「新聞受けに何日も新聞がたまっている」「配食するも不在、応答がない」「牛乳が何日も出しっぱなし」など、ご近所で小さな異変に気づいた場面はないだろうか? あの几帳面な人がおかしい・・・。こんなときはどうすればよいのだろうか?

 わがまちも急速に高齢化が進んでいる。いま所沢市の高齢化率(65歳以上)は19.5%、約66700人もいる。10年後の2020年には30.2%、さらに2030年には34.5%という推計(国立人口問題研究所)もある。あと少しで市民の3人にひとりが高齢者という社会がやってくる。

 10年、20年後でなくとも、所沢市の高齢者夫婦のみの世帯はふえている。さらに単身高齢者も多い。ひとり暮らしの高齢者は10年前と比較しても3倍、すでに8000人を越えている。急に倒れたり、なにかが起きたときはどうなるのだろうか。まわりが気づくのは、日常生活の小さな異変だ。

 昨年9月1日にスタートした「トコロみまもりネット」。つれあいの当麻よし子市長のマニフェストに「高齢者になっても安心して暮らせるまちをつくります」の一項目に、「一人暮らし高齢者の見守り活動を充実」がある。それを具体化した政策が「みまもりネット」。この間、なにか成果があったのだろうか。

 担当課にお話をうかがった。「トコロみまもりネット通報」は1年間で26件。命が助かった例は7件、すでに死亡していた例は6件、その他13件の事例がある。

 担当のSさんのお話。「昨年12月の雨の日。ヘルパーさんが70代の女性宅を訪問。応答がない。室内からテレビの音がする。不審に思い、地域包括支援センターに連絡。市にも情報が入る。Sさんも現場のマンションへ。警察官立会いのもと中を確認。女性は雨のなか、ベランダでパジャマ姿で倒れていた。すぐ救急搬送で病院へ。一命をとりとめた」

 「持病もちの70代の男性の例。本人は入院予定だが来ない。病院の相談員が訪ねるとようすがおかしい。通報がありSさんも現場へ。玄関の鍵を立会いであけて入ると、風呂場で気を失って倒れていた。一命をとりとめた」

 残念ながら死亡していた例もある。「隣人から2日前から牛乳が出しっぱなしとの通報。民生委員、包括センター職員、Sさんも現場にいき、甥の立会いのもと鍵をあけて室内に入る。室内の壁や窓ガラスに結露がある。風呂場で倒れていた。湯は出しっぱなしで、結露は風呂場の蒸気から。死後1日ぐらい経過していた。ガス風呂なので二次災害のおそれもあった」

 この3件はSさんが体験したなまなましい事例だ。そのほか一命をとりとめた例は、「隣人が洗濯物を干したまま。家で倒れているかもしれないと心配。関係機関に連絡のうえ、ヘルパーと包括センターで現場確認。本人は昏睡状態であったが、よびかけにより玄関までたどりついたが、チェーンロックがはずせず、救急隊を要請した」

 「数日前から姿をみなくなり、家の呼び鈴を押しても応答がない。包括、警察、救急隊、市職員が現場確認。リビングで倒れていた。意識あり。数日前から足が痛く、立てなくなっていたとのこと。ただちに病院に搬送された」などがある。

 「トコロみまもりネット」は地域住民や協力事業者、関係機関がみまもりや声かけで、高齢者が安心して暮らせるようにしたネットワーク事業だ。

 ネットの協力団体は、民生委員、自治会・町内会、長生クラブ、警察署などの協力機関、さらに日常地域をまわっているJA、東電、ヤクルト、郵便局、LPガス、配食サービス、運送会社など、現在122の協力事業所が登録されている。

 みまもりや声かけによって異常を発見、または疑われる場合の連絡先は、市役所高齢者支援課と市内14ケ所ある地域包括支援センターになっている。ネットの通報受付は26件、なかには友人が「数日前より電話してもでない。家で倒れているかもしれない」と心配して通報。なんと「本人は入院していた」という例もあったという。

 高齢者のひとり暮らしがふえているなか、孤独死もある。所沢警察署の調べによると、昨年、65歳以上の独居で検死扱いの人数は46人もいた。年々ふえる傾向にある。この孤独死を防ぐのもこれからの地域コミュニティの課題かもしれない。

 「トコロみまもりネット」で、市民の命が7人も救われた。都市化によって地域コミュニティが希薄化していくなかで、「みまもりネット」は高齢者にとってはありがたい存在だ。少子高齢社会の日本。みなさんのまちでは、どのような高齢者の見守りがあるのだろうか?

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2009年11月 6日 (金)

アパートから飛んだ飛行船

 「泉町にある”飛行船”は、静かな住宅地にある。その一角に二階建ての小さなアパートの二部屋を借りて運営している。家賃は七万円。部屋の広さは六畳と台所の1Kだ。足の踏み場もない狭さだ。・・・ドアには小さく”飛行船”と書かれている」

 これは2001年夏、ぼくがローカル紙「日刊新民報」に投稿したルポ「飛行船の一日」の記事の部分。当時、市内には4つの精神障害者小規模作業所があった。いずれも家族会や有志が精神障害者の社会復帰を願って、やむにやまれず自力で開設した。飛行船も、そのひとつ。

 この飛行船が10周年を迎えた。先日(11/2)、ぼくは「NPOいずみ設立10周年記念のつどい」に出席した。会場の所沢市保健センターには、メンバー(当事者)、家族、ボランティア、来賓などが多数参加した。十年一昔というが、この間、精神障害者の行政施策は大きく前進したといえる。

 小規模作業所の飛行船は、1999年9月、「在宅の精神障害回復者に対し作業の場・憩いの場を提供し、生活訓練や仲間づくりなどをとおして、社会的な自立や経済活動への参加ができるよう援助する」ことを目的に開設された。

 それ以前、市内には「所沢どんぐりの家」「所沢こぶしの家」の2つの小規模作業所があった。十数年前のことだが、ぼくはこれらの作業所の開設の相談をうけたことがある。

 当時は、身体・知的・精神の3障害のなかでも、精神障害者の行政施策は皆無に近かった。ぼくは、「なんとかして政治の光をあてたい」と市議会で毎回のように精神障害者の施策の充実をはかるよう質問をした。

 10周年のつどいに参加したOさんは、「精神障害者保健福祉手帳に写真を貼ることができた。それでも身体、知的とくらべるとまだスタッフ・施設の面で格段の差があります。作業所にでかけても、交通費、昼食代を払うと息子の工賃はいくらにも残らない」と訴える。

 たしかに精神障害者の福祉施策は他の障害とくらべると遅れている。とはいえ、福祉手帳、自立支援医療(精神通院分)、訓練等給付費、障害年金など法の整備もされてきた。

 所沢市の精神保健福祉の仕事も少しずつ充実している。いま「こころの健康講座」「こころの美術展」「家族や障害者本人に対する教室」などの啓発事業、さらに「ソーシャルクラブ」「サロン」なども行なわれている。また民間の施設もいくつか誕生した。

 10周年を迎えた飛行船は、2007年4月より地域活動支援センターに、また飛行船2号も翌年10月に支援センターに移行している。さらに「ワークみどり」は、作業をとおして社会参加への準備として、就労支援B型事業所として運営されている。自立支援法の施行で、「NPOいずみ」の法人格も取得した。

 記念のつどいでは、パワーポイントによる「10年間の思い出」、またメンバー、家族、ボランティアのみなさんが、感謝の気持ちでごあいさつを行なった。

 NPOいずみの稲川代表理事は、座談会のなかで「これからの施設はどうあるべきか?  限られた範囲でやってきたが、24時間体制やグループホームなどもある。将来はNPOが母体では制約があるので、人材の充実、もうひとランクあげて、運営に心がけたい」と語った。

 こころの病気は毎年ふえている。現在、所沢市内の精神障害者は7000人(推計)といわれている。精神の福祉手帳所持者は増えているが、まだ1402人(9月末)。ちなみに知的障害者は1466人、身体障害者は7985人(10月末現在)となっている。

 10周年を迎えた飛行船は、狭いアパートの一室からスタートした。いまやスタッフは十数人いる。大きく発展をしているようにみえるが、小さなNPO法人での運営、とくに運営資金では頭を痛めているに違いない。

 世間ではいまだ精神障害者は怖い、なにをするかわからない、という先入観、誤解・偏見が根強い。しかし、会ってみればおだやかで、おとなしい努力家が多い。どんな障害であろうが、社会の一員として共に暮らす社会、こころのバリアフリーをぜひつくりたいものだ。

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2009年10月29日 (木)

自治基本条例の対話集会

 つれあいの当麻よし子は、10月30日、所沢市長就任2周年を迎える。この2年間、34万市民のために全力で市政にとりくんできた。土曜・日曜もなく、連日公務日程がびっしりであるが、家族にとってありがたいのは、きわめて元気だということ。

 つれあいの市長就任前日、ぼくは4期目途中で市議会議員を辞職した。今日は、ぼくにとって議員辞職2周年目になる。

 いまぼくは、市長がスムーズに仕事ができるように、ごみだし、炊事、洗濯、買い物、掃除、書類整理などの雑用係をしている。これらの家事は、もう何十年もしているので、少しも苦にはならない。雑用が終わっても、この2年間はあれやこれやとあわただしかった。

 ぼくもメンバーになっている「所沢市まちづくり基本条例検討委員会」(今年1月スタート)は、すでに18回開催した。公募市民45人と市職員24人からなる検討委員会では、いま基本条例の骨子案作成にとりくんでいる。

 その素案の骨子は、前文、総則、市民、市議会と議員、市長と職員、情報の共有、参加と協働、行政運営、条例の実効性の確保、基地対策などからなっている。いま6班にわかれて具体的な条文のなかみについて検討している。市民による素案の後、原案作成、議会の議決をへて2011年4月施行の予定だ。

 自治基本条例は「まちの憲法」といわれている。地方自治の基本は、自分たちの住んでいるまちをどうよくしていくかだ、と思う。その自治の基本ルールをきめていくのが自治基本条例で、最高規範性をもっている。所沢市にはたくさんの条例があるが、その上位にあたるのが自治基本条例。すでにこの条例は全国的にもかなりの数が制定されている。

 検討委員会では、「みんなでつくろう! 所沢の憲法」と市民に呼びかけ、10月、11月の2ヶ月間、市内各地の公民館などで、市民による対話集会を開催している。そのために「広報ところざわ」やPRチームの「自治基本条例だより」などで参加を呼びかけている。

 所沢市は11行政区がある。検討委員会のメンバーは、自分の居住地を中心に「市民による対話集会」をひらいている。7班にわかれ、ぼくは「山口・吾妻地区」のメンバー。10月,11月の第一次の対話集会は、市内28箇所で開催していく予定だ。7班の地区開催は4回。ぼくの班はすでに2回開催した。

 検討委員会では、まだ素案の条文はできていない。いままで検討したことを説明し、参加者と意見交換をして、素案に反映していくことになる。

 会場設営、司会、あいさつ、説明、記録などすべて市民が担っている。説明も自作のパワーポイント「みんなでつくろう! 所沢の憲法」をつかって説明する。まさに「市民の手による市民対話集会」だ。

 自治基本条例とはなにか、なぜこの条例をつくるのか、この条例をつくるとなにが変わるのか? これまでの検討経緯と今後の予定は? いま検討委員会で検討している項目について、条例にもりこみたいことは? などを説明して参加者から意見を聞いていく。

 自治会役員など50人が参加した山口公民館の場合。「所沢の憲法といっても、いきなり無理です。よくわかりません。資料を前もって渡して欲しい」という声もあった。確かになぜ基本条例をつくるのか、予備知識もなく、説明をうけてもむずかしい。

 条例に反映させたい事項には、さまざまな意見がだされた。所沢の好きなところは「緑が多く、トトロの森をアピールして」「緑の多い狭山丘陵を守りたい」「お祭が多く楽しいまちだ」、きらいなところは「車の渋滞、西所沢駅の踏み切りをなんとかして」など、地域要望的なものが多い。

 「若い人が定着できるようなまちに」「高齢化にともない自治会の運営が困難になっている。自治会への依存の少ない市政の実現を」「人と人のふれあいを大切にするまちに」などの声もあった。

 検討委員会は、各地区だけでなく、市内の各種団体の対話集会もひらいている。ぼくの班ではすでにNPO関係者からも意見をうかがった。いずれにしても、わがまちの自治基本条例策定のプロセスは、「みんなでつくろう!」が合言葉だ。みなさんのまちではどうであろうか?

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